横浜文学学校
横浜文学学校の後輩「島口大樹」の特別合評会に参加した。3年ぶり近い対面であった。作品は文学界に掲載されている「光の痕」。全色盲の青年と漁港を舞台にした作品である。情景描写や心象風景が秀逸で、おそらく数年以内に芥川賞をとると私は思っている。
大学2年の時に横浜文学学校に参加した彼は、尖っていたが繊細でもあった。
ガルシアマルケス好きのいかにも文学青年、息子のような気持ちが、彼に動いたことを思い出す。
島口の登場により、私は刺激を受けて「文学と家族」という論考も書いた。母子家庭という共通項や熊谷出身という地域的親近感、海への憧れなど若い自分を重ねていたのだと思う。
昨夜は文学仲間と多いに飲んで、語りあった。島口の抱負な読書量と見識は、さすがに群像新人賞をとるだけのことはある。大卒と同時に受賞したわけだが、今は執筆に専念している。
時々、患者さんに「先生の趣味は何ですか」と逆質問されることがある。「酒」「音楽」と答えたりすることもあるが、多分「文学」だと思う。趣味の世界というのは、職務から離れて自分を遊ばせる世界である。しかし、島口は言っていた。「自分が書きたいことを書きたい」と、しかし生活もあるので「書かねばいけないことが辛い」と。
職業作家とは、文学を「趣味」とは言わないだろう「仕事」なのだから。
話しは変わるがジェフ・ベックが突然亡くなった。クラプトンとベックが来日した時、埼玉までコンサートに行った。ジミーペイジは格好良く、クラプトンは歌える。でもギタリストたるギタリストはジェフベックだ。ベックのギターを聞き、アパートで本ばかり読んでいた学生時代が懐かしい。
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