BADモード

 宇多田ヒカルさんのBADモードは最高に良い。このくらいのグルーブ感の方が私のような「オッサン」には心地良い。

 最近、10年以上使っていたUltraZoneのヘッドフォン(宇多田ヒカルさんもU-tubeで同じの使っていた!)が壊れたので10万以上するのを買って、DATというデジタルをアナログに変換して音質をよくするのにつないで電車の中や家で聞いている。これで聞くとそれぞれの楽器の音が鮮明になり臨場感もでる。ゴルフも旅行もドライブもやらず、金をかけるのは音楽ばかり。だいたい80年代大学生というのは車か音楽であった。私は音楽派であった。

 この前、NHKでBadモードが流れ歌詞も出ていたので聴いていると英語の歌詞(なぜかそこは日本語に訳されていなかった気がする)、「Hear's Diazepam,(ここにジアゼパムがあるの)、半錠だけ飲むの」と歌っていた。ジアゼパムは祖父の時代からあるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、よく処方されていた。今でも2mgと5mgがある。注射もあり、パニック発作や過呼吸の時に使うこともある。

 最近はベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパムの仲間)は、デパス(エチゾラム)の乱用や依存が問題になったため、精神科医にも「絶対に使わない」という先生もいる。私は適量を使えば問題はないと考えている。患者さん自身も「薬は嫌だ、恐い」と、毎日の不安と焦燥に耐えがたきを耐えQOLを下げている人もいる。精神科医に必要なのは、使い過ぎる可能性がある患者さんかどうかの、パーソナリティ特性や発達特性の評価である。

 出された薬を飲まないで「貯め込んでおいて大量服薬」する人もいる。私も残念ながら大量服薬されてしまって、多忙な救命センターの先生からお叱りを受けたこともあった。「飲んでないで貯めてた」と正直に「ドロップの入ったような瓶」を外来に持ってきてくれた子もいた。

 私は過去に何回かパニック発作(強烈な動悸、冷汗、呼吸不全感、胸部痛など)を体験していて、ジアゼパムの進化系であるアルプラゾラムに運転中に救われたことがあった。

 母亡き後から精神分析を受けている彼女のことだ、もしも飲んでいるとすれば、適切に使用しているのにちがいない。

 もっとも、ジアゼパムは歌詞の中のだけの話だろうけどね。

  

藤村邦&渡辺俊之の日々

精神科医をやりながら、小説など書いている藤村邦(本名渡辺俊之)のブログです。

0コメント

  • 1000 / 1000