I' ve never been to me

I've been to Paradise but never been to meという歌詞がコンビニで流れてきた。懐かしい曲で、I've been to Paradiseで検索するとすぐに出てきた。

 改めて歌詞をきいたけれど、とても意味の深い曲だ。「幸せ」というのは何処にいっても、素敵な人にあっても得られるわけではないーー「それは心の中にあるもの」だからという意味。

 このyoutube上手に和訳してくれている。でも、英語のまま、私はパラダイス(ジョージアにもカリフォルニアにも行って、素敵な人とも出会った)・・いろんな旅、いろんな恋をしたことがあるけれど、私自身への旅には行ってなかったの」と理解している。

 でもこの訳も上品で素晴らしい。

 この詩は、「幸せというのは自分の中にあるもの、外的な価値や場所で得られるものでではない」と自分自信の内面に問うてみようという内容になっている。

 精神分析治療の根幹は洞察と内省にある。知りたくもない記憶を呼び起こし、認めたくないものを理解し、そして「本当に大切なもの」を知っていく「内省」を促すのが、精神分析的精神療法(心理療法)である。なぜなら知りたくない記憶、認めたくないものが、無意識にいて、症状を形成したり、行動化させるからだ。

 今の時代、精神科医にも臨床心理士にも精神分析を志向する人は減ってしまった。しかし、米国は精神療法の基本として認知行動療法と力動的精神療法(精神分析的精神療法)を研修することになっている。

 もう忙しくて、私も昔のように精神分析を自費診療する時間はなくなったが、一般外来でもその知識とスキルを使っているというか、自然にそうしている。また、遠くからスーパーヴィジョンというトレーニング来ている先生方には私が学んで来たことを教えている。

 臨床やっていて嬉しいのは、短い時間だけど、内省してくれて成長してくれる患者さんがいることだ。

 朝からの仕事を押してくれたのが「シャーリーンのI've never been to me」であった。

 私もいろいろ外国も行ったけど(ジョージアやカリフォルニアは行ってないが)、最近、どこかにいくよりも、本を読んだり映画をみたりして、自分を考えることだと思うようになった。

 自分の心への旅は昔から好きだ。高校時代や大学時代・・音楽聞いて、本ばかり読んでいた時代に戻っている自分がいる。

 でも、大谷翔平の試合には行きたいけどね。


藤村邦&渡辺俊之の日々

精神科医をやりながら、小説など書いている藤村邦(本名渡辺俊之)のブログです。

1コメント

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  • 冨澤理紗

    2022.09.06 20:45

    お世話になっております。冨澤です。 I’ve never been to me どこかで聴いた事がある曲でした。英語の意味はわからなかったのでYou Tubeを観て詞の意味がわかると、ああ、こういう歌だったのね、とアメリカ人ぽい。 詞から何となく「マリア・カラス最後の恋」という映画を連想しました。 歌姫マリアと海運王オナシスの愛の日々の 映画ですが、愛はやがて憎しみに変わり…。 見どころは2人の激しい喧嘩シーンです。 トスカの舞台やハバネラもgood。 あれほど愛してもオナシスの心は離れていった。愛や幸福を求めてもうまくいかなった。 愛は死んだ。過去の記憶だけを残して。 という映画です。 愛したぶんだけ後の孤独は深かった。